「体が不自由になっても出来る限り自宅で暮らしたい」 このように願っておられる方も多いのではないでしょうか。

介護の現場でもQOL(クオリティ オブ ライフ。「生活の質」と説明されたりもします。)という言葉が注目されるようになった昨今。たとえ体が不自由になっても、病気になっても、認知症になっても、住み慣れた自宅で自分のリズムで生活することができれば、自分らしいより豊かな生活を送れるかもしれません。

とはいえ、身体機能の低下や認知症などによる精神状態の悪化などにより、より安全で快適な生活のために介護施設に入所する時が来ないとは限りません。介護施設を利用するにはある程度まとまった金額が必要となる場合もあり、もしもの時には自宅を売却し介護施設入所費用を用意しようと計画を立てられている方もいらっしゃいます。

しかしながら。

いざ不動産を売却しようとしたその時、認知症が進行していたためにその計画を実行することが難しくなるということも、決してないことではありません。不動産を売却するためには、その売買契約の内容や法的効果を理解できる能力を有していることが必要となるからです。

また、このようなリスクは、認知症のような場合だけではなく、身体機能が極めて低下し自分の意思を示すことができない状況の時にも起こり得ます。

このようなリスクへの備えとして、信託の活用が考えられます。

「ご自宅での生活を続けつつ、いざという時には家族等の助けを得てその不動産を売却し、その売却代金によって安心できる施設に入所できるようにする」。この実現のために、当法人にて、ご家族との信託契約のお手伝いをさせていただくこともあります。

本当の意味でのQOLの維持・向上を実現するためには、「病気の進行状況等に応じてより良い選択を行うことができること」が大切ですが、事前の備えなくこれを実現させることはとても大変です。

ご家族の皆様がお元気な時こそ、ご家族で、これからの「もしも」について話し合ってみませんか。